アスカ改造SAL!!!
下駄箱に着いた二人、アスカは自分の下駄箱を開けた。
バサバサバサッ!!
開けた瞬間どうやって入れられていたのか、わからないほどのラブレターがアスカの足元になだれ落ちる。
シンジは『どうせ捨てられるのに』と思いつつ少し期待して見ていた。だが・・・・
(えっ?!)
「もうっこんなにあるんじゃ返事を書くのが大変だわ」
(ええっ!)
アスカは散らばったラブレターを拾い上げると鞄に入れたのだ。シンジ驚いた。
「ア,アスカ」
「何?シンジ君」
「ラブレター捨てないの?」
「どうして?返事を書かないと失礼でしょ、変なシンジ君」
アスカはにこやかに教室に向かった。
シンジは『うそだ!!!僕は!僕は夢を見ているんだ!!』と絶叫したかったが恥ずかしいので止めた。そして教室に向かう。
教室ではクラスメートが昨日のTVや色々な話題の事で賑やかである。
ガラッ!
アスカはドアを開けた、シンジもそれに続く。
「アスカ、碇君おはよう」
「センセ、惣流おはようさん」
「おはようシンジ、惣流」
先に登校していた親友達が二人に気づいて挨拶をする。
「おはよう、ヒカリちゃん、トウジ君、ケンスケ君」
!!!!!!!
にこやかに挨拶するアスカに教室中か固まった。ただ一人を除いては・・・・・
「あら?みんなどうしたのおはよう」
!!!!!!!
また固まる。
「なっ!アスカどうしちゃったの?碇君、まさか変なものを食べさせたんじゃないでしょうね」
真っ先に固まりが溶けたヒカリがアスカの肩を掴み揺さぶる。
「あ、苦しいよヒカリちゃん」
「センセ、そこまでして・・・・・・、ワイは男として悲しいで!」
「ち、違うよ〜〜〜」
次に復活したのはトウジ、ヒカリの言葉をそのまま鵜呑みにしてしまう。
「違うよトウジ〜わからないけど、これは夢なのかもしれない」
「夢じゃないわ」
固まっていなかったレイが外を見ながらボソッと呟いた。当然みんなには聞こえていない。
『夢か〜』と復活したクラスメートが頷いた。そして喧騒の教室に戻る。
「夢じゃないのに〜〜〜」
解放されたアスカは呟きながら、席に座った。
そんな中一人の生徒が『夢なら告白してもいいんじゃないか』と呟いた。
その瞬間・・・・・・
ドドドドドドドド!!
一斉にアスカの席の回りにクラス中の男子が集まった。
「な、みなさん何か用ですか?」
苦笑いするアスカ、男子は目が血走っている。
!!!!!!!!!!!
そして怒号の様に告白が始まる。だが一人一人が喋っていないので五月蝿いだけだ。まわりにはすでに校内に『アスカ!お淑やかに!』の緊急スクープがメールで流れて、知った男子生徒の輪ができていた。
それを目にしたヒカリは
「不潔よ〜〜!!」
と本日一発目を放ったが、その声も掻き消された。
「なんや〜この多さは?ケンスケ何しとるんや?」
遠くから見ていたトウジはケンスケの怪しい動きが目に入った。棒の先にデジタルカメラを装着してアスカに向けている。
「これ?見りゃわかるだろ。惣流を撮っているんだ。困った顔もなかなかいいぞ!」
ノートパソコンに次々と保存されていく。
「シンジ〜惣流が気になるんか?」
シンジはアスカの席をずっと見つづけていた。しかし男子で隠れており、顔を見ることはできない。
「そ、そんなんじゃないよ」
ハッとなり顔を赤らめる。
「ウソ〜はいかん、告白したらどうや?どうせ夢なんやから」
「な、な、な、な!!!」
熟れたトマトより赤いだろうか、耳まで真赤である。
「ぷはは!!まったくからかいのあるやっちゃな〜〜」
腹を抱えて爆笑するトウジ。
「酷いよ〜〜」
!!!!!!!!!
まだまだ告白は続く。一方的に話してくるのでちょっと怒りがこみ上げる。
ダンッ!!
机を威勢良く叩くと立ちあがった。男子はビックリして止る。
「あ、あたしには好きな人がいるからごめんなさい!!」
男子に謝ると、人垣をわけて教室を走って出て行こうとする。
「アスカ!」
そしてシンジの前を通り過ぎる時、一瞬シンジの顔を見て頬を赤らめ出ていった。
振られた男子達、みんな『夢だからな〜〜』と言ってはいるがショックは大きい。
「センセよかったな」
トウジがシンジの肩をポンと叩いた。
「どうして?」
「惣流が断ったからや」
「それがどうしたの?」
トウジは手を顔に持っていくと呆れた。
「ホンマ鈍いやっちゃの〜〜」
「だから何が?」
「もう、アスカがどうして断ったのか碇君わかってる?」
ヒカリがあまりの鈍さに怒り始める。
「それは好きな人がいるからだろ、それが僕と関係あるの?」
「んもう〜アスカが好きな相手はねえ・・・・・やめとくわ」
ヒカリはやめた。お節介が行き過ぎている。
「何だよ〜わけがわからないよ」
「お子様にはいいんだよ」
「何だよ〜ケンスケまで」
良い写真が撮れてホクホク顔のケンスケ、また懐が潤うだろう。
「これやるよ」
プリントアウトしたアスカの写真。
「べ、別にいいよ」
「いいから取っとけよ。惣流のこんな顔、もう見られないかもしれないんだぞ」
写真には先ほどの立ちあがって叫んでいる場面であった。その顔は赤らめ申しわけなさそうにしているが、その瞳は綺麗だった。見ているシンジを見つめているようだ。
「・・・・・・・・ありがとう」
「いいって、さあ帰って編集だ」
ケンスケは荷物をまとめ始めた。
「相田君、授業はどうするの?」
「これは夢なんだろ、なら問題無いよ」
帰っていく。頭の中はすでに札束が舞っている。
騒がしい教室、一人静かなレイは顔は外を向いていたのだが、耳はアスカの声を捕らえていた。
(・・・・・・・・このままじゃいけないわ)
ポケットから携帯電話を取り出すと短縮にダイヤルする。
授業をキッチリと行われた。アスカは戻ってこなかった。シンジは心配そうに席を見つめ、レイはいつも通り外を眺めていた。
下校、シンジは授業が終わった後もアスカを待っていたが、戻ってこなかった。仕方が無いのでアスカの鞄も一緒に持って帰った。
「ただいま〜〜」
玄関は開いていた。だがその事は頭に入らなかった。
「!」
よく見てみると、見慣れた靴があった。
(アスカ!帰ってきたんだ)
嬉しくなって、靴をきちんと揃えずに上がり、走った。そして・・・・
「アスカ!」
ザッ!
襖を開けた。
!!
「あっ!ご、ごめん」
シンジが見たのは下着姿のアスカ、着替え中だったようである。真赤になり固まる二人。
「こ・・・・・このヘンタイバカシンジ!!!!」
バッチ〜〜ン!!!
光速のビンタ、シンジは飛んだ。
(ア、アスカが変になって・・・・いる・・・・・)
飛びながら薄れゆく意識の中、今朝と性格が違うのに気がついた。
(・・・・・こ・・・・これが本当のアスカ・・・かな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
シンジは沈黙した。
それから五分後、着替えたアスカが襖を開けた。
「このバカシンジ!ノックもしないでレディーの部屋を開けるなんて最低ね」
ボコッ!
蹴りを入れまた飛ぶ。すでに屍のようだ。
「レイ、せっかく希望通りに性格変えたのにまた元に戻すなんて」
MADの研究室、レイとリツコがいた。
「あのままの性格では碇クンが危険と判断しました」
「・・・・そうね、確かにあのアスカじゃあシンジ君が惚れる可能性があるわね。MAGIでも80%と予想しているわ」
コーヒーを飲みながら、レポートに目を通す。
「はい、今まで通り狂暴で最悪なアスカで良いです」
「ふふ、わかったわよ。また何か思いついたらお姉さんに言ってきなさ・・・・あら?レイ」
『お姉さん』と言った時点ですでにレイの姿は無かった。
おしまひ
アスカ改造SALその3です。性格が元に戻りましたので終わりです。
いち早く?改造されたアスカの性格を危険と察知したレイ、恋する少女の行動力は凄いです。
リツコさんは「お姉さん」を引きずっています(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION アスカ改造SAL!!!